G7いらない!広島は訴える! 3.25集会 参加報告

G7いらない!広島は訴える! 3.25集会 参加報告

長澤淑夫

 京極さんの挨拶で開始した、この集会(主催:G7いらない!首都圏ネットワーク)の最初のお話は、広島で「日本軍『慰安婦』問題解決ひろしまネットワーク」の事務局長として活動されている岡原美智子さんだった。「軍都廣島からG7広島を問う」と題したお話は、日清戦争時に廣島に大本営が置かれたころからの軍事都市としての形成を鎮台の設置、鉄道で繋がる宇品港、三つの大きな軍事工廠から説明し、さらにアジア太平洋戦争時には、東南アジアでの華僑虐殺に関わった廣島の歩兵第11連隊の侵略ぶりを写真や図で説明された。特に軍「慰安所」の設置や朝鮮人の移送に関わる説明から1997年以降のバックラッシュ、日韓「合意」に見られる戦争責任、戦後責任を果たそうとしない日本政府の問題点を指摘した。さらにカッセルの少女像撤去問題、徴用工問題にも触れ、最後は栗原貞子さんの詩「ヒロシマというとき」で話を締めくくった。
 
 続く新田秀樹さん(ピースリンク広島・呉・岩国)「広島の反基地運動から」のお話は、広島湾を囲むこの3都市が、戦後、米軍と結ばれた軍事地域(原爆ドームを中心に40キロ圏内)をなしていることを地図で説明し、海上からの舟による反戦運動をスライドで紹介した。呉地方総監部の空母、その他艦船と米軍との関係を具体的に兵器をあげ、この地域が再び戦争の拠点となっている現状を説明し、対抗する運動の重要性を訴えた。特に市民や行政がこの問題に無自覚である点や情報や運動が3都市を繋いでない現状を危惧しつつ、G7広島サミット=NATOの軍拡にヒロシマを利用させてはならないと訴えた。
 
 最後は久野成章さん(ピースリンク広島・呉・岩国、8.6ヒロシマ平和のつどい、戦争をさせない・9条壊すな ヒロシマ総がかり行動実行委員会、環境社会主義研究会)のお話。長い題:「G7広島サミットを問う市民のつどい実行委員会」での討論を踏まえての個人的問題提起=1931年の満州事変から92年、1941の日米開戦から82年、1991年のソ連崩壊から32年。米中戦争を阻止することが日本の歴史的使命と熱く語った。勢いのある話の最後は本番「G7広島サミットを問う市民のつどい」(5月13日、14日)のメインスローガンとサブスローガンの絶叫となったので、ここにそれを紹介する。

メインスローガン(確定)
★岸田首相は軍拡のために被爆地ヒロシマを利用するな!★
1 バイデン大統領は原爆無差別大量虐殺を謝罪せよ!
2 岸田首相はアジア侵略・植民地支配を謝罪せよ!
3 核武装国(米英仏印)首脳は広島に来るな!
4 G7・NATO軍事同盟は核による脅し(=平和に対する罪)をやめよ!
5 暴力に抵抗しているウクライナとロシアの市民に連帯し、ロシア軍撤退による即時停戦を!
6 すべての戦時および日常の暴力と性搾取を根絶せよ!

サブスローガン(今後さらに検討)
1 国際原子力マフィアを一掃し、核兵器と原発のない世界をつくろう!
2 岸田首相は福島の放射性汚染水の海洋放出をやめよ!
3 天皇は戦争責任・原爆招爆責任をはっきり認め、全ての被害者に謝罪せよ!
4 岸田首相は日本軍「慰安婦」被害者に謝罪せよ!
5 岸田首相は韓国徴用工の被害者に謝罪せよ!
6 岸田首相は戦争を準備する国づくり・大軍拡をやめ、安保3文書を撤回せよ!
7 岸田首相は沖縄を要塞化するな!沖縄を戦場化するな!
8 日本政府と企業は、武器を作るな、売るな、輸出するな、輸入するな、使うな!
9 国境を越えた民衆の連帯で、非核・非武装・非同盟・中立の東アジアを!
10 化石燃料の使用をやめよ!G7諸国は気候債務を負え!
11 ジェンダー不平等をなくし、性的少数者の人権を守ろう!

 続く質疑応答では小学校3年教材から「はだしのゲン」削除や中学校3年生教材から「第五福竜丸」を削除された状況などに関するするものや、馬毛島軍事基地化と広島周辺の基地との関連が質問され、それぞれ的確な答えが返されました。

 最後の大橋成子さん(ピープルズ・プラン研究所)は、米中の狭間に立つフィリピンにおける米軍の危険な軍事展開とそれに対応するフィリピンの人びとに関する特別報告を行った。スービックとクラーク基地を追い出したフィリピンで、現在、米軍の帰還が進んでいるという。ドゥテルテ大統領は反米親中的だったが、独裁者の息子マルコス大統領が米国寄になり、米軍が9個所を巡回基地としてフィリピン軍の基地を自由に使用するようになっている。日本も先日来日したマルコス大統領と岸田首相はODA等の供与で関係を深め、中国包囲網にフィリピンを取り込もうとしている。しかし米軍基地の後の経済特区では中国企業の進出が著しく、経済的には中国との関係は重要なものとなっている。確かにスプラトリー諸島を巡る対中摩擦があるが、フィリピンの人びとは米中対立には巻き込まれたくはなく、平和的外交による米中対立の解決を望んでいる。

 単純な被爆都市ではない軍都広島からの力強い活動家の発言は5月本番の運動に向かう勢いを感じる集会だった。最後の最後に愉快な集会アピールで会は閉じられた。(参加者は65名程度)

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