第12回「経済・財政・金融を読む会」

第12回「経済・財政・金融を読む会」

みなさま。10月を迎えて秋風とともに値上げラッシュが襲来しています。消費者物価上昇率は、欧米に比べると低いとはいえ、4月から5か月連続で2%を超えていて、この先もインフレが続くことは確実です。現在の物価上昇は、世界的な資源や食糧の価格高騰によるものですが、急激な円安の進行も大きな要因になっています。そして、この円安が、欧米諸国の中央銀行がインフレ抑制のために金利引き上げに転じるなかで日本だけがゼロ金利維持のための金融緩和政策を続けることによって生じる海外との金利差のいちじるしい拡大から来ていることも明らかです。政府・日銀は、一方で円安抑制のために2.8兆円もの円買いを行いながら、他方で金融緩和に固執するというチグハグな対応に陥っています。黒田日銀総裁は景気回復を支えるために金融緩和を続けると強弁していますが、アベノミクスの「第一の矢」であった異次元金融緩和が賃金上昇をともなう景気回復をもたらさなかったことは実証済みのことです。現在もなおアベノミクスと金融緩和の継承を唱える言説や政策が横行していますが、これらに対する厳しい批判が求められています。

いま経済学や経済政策の分野では、従来の「合理的経済人(ホモエコノミクス)」仮説の根本的な限界を超えて、人間の心理的な側面を重視した行動経済学が重要な役割を演じつつあります。安倍・黒田による異次元金融緩和も、デフレ脱却への「期待に働きかける」経済政策でした。それが、なぜ、失敗したのか。そこで、行動経済学の紹介と異次元金融緩和批判を分かりやすく論じた翁邦雄『人の心に働きかける経済政策』をテキストに取り上げます。ぜひ、ご参加ください。(白川真澄)

第12回「経済・財政・金融を読む会」

  • 日時:10月30日(日) 13:30~16:30
  • テキスト:翁邦雄『人の心に働きかける経済政策』(岩波新書、2022年1月)
  • 報告:千村和司
  • 参加費:無料
  • オンライン形式で行いますので、参加をご希望の方は下記のボタンよりお申し込みをお願いします。

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