高市早苗による無理な国会解散と、彼女の政治路線を盛り込んだ長大な記者会見は何だったのか?これは当然の疑問だ。それには明白な目的、理由があったと私は見る。
この選挙は高市早苗が総理としてふさわしいかどうかを問う選挙だ、というのが彼女の演説の核心である。自民党が政権党にふさわしいのか、ではなく、彼女、高市早苗個人がである。それは自分を最高指導者として認めよ、という要求である。これは、彼女個人が直接大衆と結びついて国を支配するというシステムへの地ならしと見るべきだ。彼女の本来の極右路線、国家改造の目論見を、国会で議員を相手に政策(施政方針)として提起し、国会内議論にその成否をゆだねるとなるとそれは議会的に改変され、薄められてしまうだろう。だから、この間接性を排除するために、直接「国民」に向かって国論2分の路線提起をするぞと宣言し、そのことへの合意を取り付けてしまいたい。高市にとって今回の衆院選はその合意取り付けのための戦場なのだ。彼女を支持する大衆的圧力で国会を包囲し、締め付けられる条件をつくる。これが今回の高市の記者会見の特殊な意味であると思う。これによって、かつて麻生がナチスを持ち出して推奨したなしくずし国家改造コースがあからさまな挑戦段階に入ったと見るべきだろう。ポピュリズムと批判するだけではあまり意味がない。私の知る限り、高市とその政権のこの戦略的仕組みに、マスコミやネット世論はほとんど切り込んでいない。わずかに「羽鳥」番組で、玉川が一言、高市は「白紙委任」を求めていると的をついた指摘をしたけれど、フォロウアップは皆無であるようだ。
このプレ・トランプ状況にどう立ち向かうべきか、まず現状の醒めた認識が必要だ。
武藤一羊 2026・1・27