長澤淑夫
みちのく潮風トレイル 青森県八戸から岩手県野田村までを歩く
☆2019年6月に全線開通した青森県八戸から福島県相馬までの約1000km(直線距離ではない)のロングトレイル。環境省、関係自治体、民間団体、地域住民が整備し、「みちのくトレイルクラブ」が運営。
7月22日 1日目 蕪島から種差へ 約9キロ
八戸まで東京から新幹線、八戸線に乗り換え、鮫駅下車 ここの蕪島(ウミネコの生息地)神社がトレイルの起点。ここからスタートし変化に富んだ海の景色を楽しみながら歩く。この日、八戸の気温は35度だったが、海沿いは幾分涼しい。種差キャンプ場は天然芝の高台。種差アクションセンターでテントの受け付け。センターには周囲の自然(動植物・地形)の解説があり、隣にレストランが併設。山と違い夏、平地のテントは暑かった。
23日 二日目 種差から種市へ 約20km
途中の海岸ではウニ漁をやっていた。潜って取ることは禁止とのこと。海岸付近の作業場でウニを割り、中身を出していた。道中小さな漁港が沢山あった。天気は薄曇りでたぶん32度くらいか?トレイルの道しるべ、目印は小さく見つけにくい箇所あり。また食料品を買える店が少なく、あってもパンやおにぎりがないなど不便。店のおばさんが自分の昼食用のパンを私にくれた。種市高校で給水。この高校は「あまちゃん」で潜水練習のできる高校として登場。種市先輩に会った高校のモデル。校門すぐに潜水練習棟があった。種市の町は大きなスーパーや飲食店があり便利。海水浴場横の種市海浜公園キャンプ場(シャワーあり)で波の音を聞きながら寝る。
24日 三日目 種市から北侍浜(きたさむらいはま)野営場へ 約24km
この日は町中から砂浜、歩きにくい山道と変化のある道中。この日もトレイルしている人には会わなかった。食品を買った「フレンドショップおーくぼ」(米は5kg、3300円くらい、リンゴは東京と変わらず「ふじ」が一個240円くらい)の店員さんから海岸の道は水に浸かるから、国道45号を行った方がいいと強く勧められたのでそうする。最後の3kmで海岸線のトレイル道にでる。海岸は崖なので山道みたいなコース。この野営場は板の上にテントを張るのでペグを打てなかった。「あまちゃん」が潜る練習をし、撮影した海水プールがあった。キャンプ場で熊本の人(水俣出身、中学時代、石牟礼道子の夫に社会科を習ったとのこと)と話す。友人と車で東北を廻っているとのこと。
25日 四日目 北侍浜キャンプ場から久慈駅まで19km
海岸線よりかなり高いところにコースを切っているが、久慈近くで海岸に出て、橋を渡ると町に入った。JR久慈駅や三陸鉄道リアス線の駅は久慈川と長内川の間にある。311の震災時、ここでは津波の高さは5メートルぐらいで既存の堤防で足りたとのこと。それでも漁港には高い防潮堤が建設されていた。26日午後の「経済・財政・金融」研究会にonlineで参加し、司会をするため二日間、駅前のビジネスホテルに泊まる。朝7時にあまちゃんのテーマソングが、夕方5時には「潮騒のメロディ」が流れていた。
27日 歩行は五日目 久慈駅から野田村まで25km
海岸の防潮堤に沿って少し歩くと景色のいい場所にでる。ここから小袖海女センターまでは絶景が続く。途中に五丈の滝。あまちゃんの本拠地。北限の海女の説明があった。歩きやすいコースは一変し、ここから海岸を離れ山道へ入る。そこに熊注意のマーク。熊鈴を持ち、緊張しながら歩く。踏み跡少なく、草ボウボウで歩きにくい。沢筋のたびに上り下りを繰り返す非常にきついコースだった。8kmに4時間近くかかり、体の水分が抜けて喉が渇く。地図だけでは予想出来ない難路だった。山歩きに慣れていない人はこの山道に入らず車道で野田村まで行った方がよい。野田村のキャンプ場は「マミーストア」というミニスーパーの裏庭。買い物に便利で助かる。近世、ここ野田村から盛岡まで塩を運んだとのこと。今回のトレイルはここで終了し、翌28日、三陸鉄道リアス線で陸中野田から宮古まで行き、駅前のビジネスホテルに一泊、宮古の浄土ヶ浜を船と徒歩で観光した後、盛岡を経て東京へ。この日、盛岡37度。宮古から石巻までが本格的リアス海岸(スペイン、ガリシア地方の入江=リアに由来)になる。八戸から宮古までは海食崖か砂浜。
二学期最初は、写真とともに今回の東北巡りを地理的に説明した授業をおこなった。
☆このコースを宮沢賢治が28才(1924年)の時、船、徒歩、乗合自動車で4泊5日の旅をしている。


