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キューバのハリケーン防災対策/吉田太郎(キューバ有機農業ブログ)

以下の吉田太郎さんの「キューバ有機農業ブログ」で、吉田さんの自著『「没落先進国」キューバを日本が手本にしたいわけ』(2009年10 月築地書館)のうち、今回の被災と関連ある第1節と第2節がPDF公開されています。(PP研)

http://pub.ne.jp/cubaorganic/?entry_id=3556957

ブログより抜粋
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■拡散希望?長期的な安心社会づくりのために

 さて、こうした状況のなかで、小さな一個にすぎない自分ができることはなんなのでしょうか。枝廣さんのブログに励まされ、日々、素人ながら、思いついたことをこのブログに書き込み、もし、できうることならば、皆さんからもアイデアをいただき、実行しようと思っています。

 そこで、今日、職場に向かう途中で、ふと思い浮かんだのが、

「原発ばかりにとらわれていたが、地震の被災者もいる。また、原発で避難している人々がいる。日本が四大プレート (?北米プレート、?ユーラシアプレート、?太平洋プレート、?フィリピン海プレート)に乗った地震・火山の弧状列島であり続ける限りは、今後も被災はあり続けるであろう。その際、キューバのハリケーン防災対策が参考になるのではないか。これをわかちあおう」

 という想念でした。そこで、さっそく、築地書館の土井社長に相談したところ

「この非常時ですからかまいません。弊社としても協力します」といってくれました。

 利益を無視して、私のつたないアイデアに賛同いただいた築地書館のみなさん、本当にありがとうございます。

 そこで、以下の拙著「「没落先進国」キューバを日本が手本にしたいわけ」(2009 年10 月築地書館)のうち、今回の被災と関連ある第1節と第2節をPDFで、無料でお読みいただけようにしました。ご関心のある方は、拡散してください。とりあえず、原稿用のテキストを強引にPDFにしたもので、引用文献などついていませんし、写真も落ちていますが、明日以降時間があれば、さらに充実します。

? 国民参加で安全・安心社会を実現する

 1 ハリケーンで死傷者が出ない国 
    ・災害の方程式‐キューバは国連防災のモデル国
     ・ペットも一緒に避難所に避難
     ・被災はあくまでも自己責任
 2 皆で築きあげる安全の文化
     ・顔が見えるハザード・マップづくり
     ・衛生管理と予防で被災者の健康を保障
     ・世界を視野に入れた防災医療センターの防災教育
     ・ボランティアが総がかりで取り組む災害復旧
     ・教育を通じて安全の文化を育む
     ・格差社会をなくすことが被害も減らす

 3 地元学を生かす安心社会
     ・地元学を生かす安心社会
     ・二度のハリケーンにも挫けずに学校を復旧
     ・地元学で地域の課題を解決する子どもたち
     ・反貧困の「正義」とは「希少資源の配分問題」
  
 なお、キューバから学べると思ったことをここで簡単にまとめておきます。

■国が誇る最高のプロの専門家が、わかりやすくリスクを説明

 キューバでは、ハリケーンが近づいてくると、国営テレビに登場するのは、気象学者です。貧乏国ですから日本と比べ大卒やインテリも少ないですし、一党独裁の共産主義国家ですから、NPOもろくにない。とはいえ、ベストの気象学者が登場し、どのようなリスクが迫っているのかを国民に解説します。米国とは違って美人キャスターが説明するわけではないといいます。日本では、さしずめ、元東芝の技術者後藤博士が、データを得たうえで解説するといった姿になるでしょうか。

 ここで、まず国民に、ハリケーンという危機が迫りつつあること、第一段階の警戒が出されます。もちろん、この措置は接近まで時間のかかるハリケーンだからできることであって地震では使えません。とはいえ、ここでひとつの学びがあります。

■不必要な憶測情報は出さない

 まだハリケーンがどこを直撃するかは予測できない段階で、不必要な情報開示を行うと混乱を招くだけになりますので「ハバナがやられるとか、ピナル・デル・リオが危ない」といった予測情報は一切流されないことです。情報統制をするのです。
 そして、いよいよハリケーンが近づいてきて、本土、例えば、ハバナを直撃することが確実になると、警戒態勢が取られます。

■便利さよりも命の安全を優先

 まず国家電力供給公社、日本だと東電になりますが、ここが強制停電を行います。ハリケーンで町が水浸しとなり、電線が見えないとおりの下を流れていると漏電で感電する恐れがあります。そこで、あらかじめ電気を切ってしまうのです。文句を言う人もいます。ですが、便利さよりも、リスクを避けること、人命を優先するのです。

■コミュニティの助け合い・秩序だった避難

 そして、ハリケーンに襲われる危険が近づけば、入り江の小さな村まで、国営バスが避難援助に向かいます。これも予防措置であることが大切です。ハリケーンが来て救いにいけなくなるまでに事前に広範囲の人々を逃がすのです。今回の避難距離をいきなり広げるといった後手後手とは正反対です。実に国民の半分すら避難させたことがあります。日本の例でいえば、東日本(東北・関東)が危ないとなれば、北海道、西日本、四国、九州に国民の半数が一時的に退避するわけです。これを可能としているのが「連帯の精神」です。

 連帯の精神で頑張りましょう。本日もつたない文章を書いているこのサイトに100人もの人が訪れてくださいました。感謝申し上げます。

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