トップ (メニュー)  >  海外からのメッセージ、ニュースなど  >  日本の救援と復興――米国は日本の「思いやり予算」を辞退し、世界的な軍事依存を終結させるべき
日本の救援と復興――米国は日本の「思いやり予算」を辞退し、世界的な軍事依存を終結させるべき

軍事主義を許さない国際女性ネットワーク

2011年4月11日

軍事主義を許さない国際女性ネットワーク(the International Women’s Network Against Militarism: IWNAM)は、米国政府・日本政府が両国市民の税金を日本や他の領土内の米軍施設維持のために使うことをやめるよう要求します。この度の日本の自然災害に際して、地震や津波、原発事故による放射能汚染の被災者を直接救援するために資金を使うべきです。また、軍事主義をもたらし、人間関係や環境のさらなる破壊をもたらすことのないような、世界規模の雇用を生み出す新たな可能性の創出に使うべきです。

IWNAM(以前の名称は「軍事主義を許さない東アジア・米国・プエルトリコ女性ネットワーク」)は、人々の真の安全を確保するために世界の軍事資金を別の用途に配分することを求めます。私たちは在日米軍の維持のために日本政府から提供される「思いやり予算」の中止を求めます。(「安全保障再定義のための国際女性サミット」最終声明[2000年6月]を参照のこと)

「思いやり予算」は日米安全保障条約で決められた日本の義務をはるかに上回る支援だとして常に批判されてきました。その支援は、在日米軍基地で働く日本人従業員の給与、米軍兵のための施設、豪華なレジャー施設の建設費などに及びます。2010年、その費用は1890億円(約16億ドル)にものぼりました。もし日本政府がそれだけの資金を保持していたなら、東北地方でおきた地震の被災者、福島第一原発の事故によって強制避難させられた人たち、放射能汚染のリスクのせいで収穫物を売ることができない農家や漁師の支援のためにそれを使うことができるはずです。日本は、広範囲に及ぶ被災地区の再建のために、そして、経済と人材の損失からの復興のためにこのお金を必要としています。日本政府は在日米軍基地の維持をこれ以上続けてゆくことは困難です。もし米国政府が「思いやり予算」を辞退すれば、そのお金をこれらの人々を直接支援するために、また、より持続可能な世界の創生の一助として、使うことができると私たちは信じます。

さらに、IWNAMは、日本政府が沖縄の辺野古や高江、またグアムでの新しい軍事施設の建設を中止し、その資金を今回の自然災害の被害者のために使うよう要求します。3月の地震発生以来、米軍と日本の自衛隊の存在がますます目につくようになりました。彼らの救助活動は重要なものではありますが、軍隊の主な目的は災害救助ではないということを忘れてはなりません。彼らの主要な訓練は「敵」を滅ぼすことを想定したものです。彼らをまるで英雄であるかのように扱うことで、軍事力による占領行為を正当化するための機会としてこれらの自然災害を使ってはなりません。それは現在の軍事拡張を覆い隠してしまいます。

「平和と正義のためのグアハン連合」のリサ・ナティビダードは次のように言います。

「グアム(グアハン)では、日本政府が資金を少しずつ積み増しておよそ100億ドルも出した。これは米海兵隊の沖縄からグアムへの移転のための総費用の70%にあたる。島の人たちは、1898年に米国が植民地支配を強行して以来、米軍基地と関連設備がもたらす毒物と環境劣化が主な原因とみられる健康被害に苦しんでいる。たとえば、発ガン率はこの島では非常に高く、もっとも高いのが米軍基地近くの住民である。さらに、米国は現在、島のおよそ3分の1を占領し、パガットの村の古代チャモロの聖地に実弾射撃施設を建設するためにさらに2300エーカーを『取得』しようとしている。追加の土地を獲得すると、米国支配は島のおよそ40%までに増える。先住民には島のわずかな土地しか残されない」

さらに、米国南東部のハリケーン・カトリーナ、ハイチの地震、フィリピンの洪水の後、企業と軍隊はこれらの災害を利用して、再建の過程でさらなる利益をもたらしました。後に、これらの場所では住民たちの従来の経済的活動ができなくなり、軍による監視の強化も体験しなくてはなりませんでした。私たちは、依然として、自然災害が起きれば、人々を支援する災害救助の軍隊と復興計画を必要とします。しかし、権力構造を変えるつもりのない軍事主義と資本主義との間の協力関係が、新自由主義の観点から地政学的政策をおし進めるために、これらの災害時を利用しようとするという事実を、批判的な目で見据えなくてはなりません。

暴力を行う集団が人々に雇用をもたらす時、軍事主義への依存が起こります。軍事依存社会に見られる個人間や環境への暴力は、より大きな軍事社会の産物であるという見方はあまりされません。元米空軍の軍人が沖縄生まれの妻を殴り殺すというオハイオ州でおきた最近の事件は、軍事社会における個人間の暴力を端的に表わしています。2人は、男が沖縄に駐留中に名護で出会いました。彼らは結婚し、オハイオ州のクリーブランドに引っ越しました。2011年3月11日、妻は夫にひどく殴られ、病院に運ばれて手当てを受けましたが、その傷がもとで亡くなりました。地方紙によると、この男は前のパートナーにも暴力をふるった過去がありました。ただ、この女性の場合は男から離れることができましたが。この例は軍人による個人間の暴力の典型的なパターンを示しています。

ハワイでは、カネオヘ海兵隊基地(オアフ島)に配備されるヘリコプターの増加が見られます。オスプレイ飛行隊(部隊を移送するハイブリッド型のヘリ・航空機)、攻撃ヘリ「コブラ」、「ヒューイ」飛行隊はオアフ島のモカプに配備され、ビッグ・アイランド(ハワイ島)で訓練する予定になっています。2011年3月30日、1機のヘリコプターが墜落し、海兵隊員1人が死亡、3人が負傷しました。ハワイでの軍用機の配備や訓練のための地域拡張は、米国のアジア太平洋戦略から生まれたものです。基地や部隊をひとつの島から他の島へ移転させるのです。しかし、これらの決定は、軍事拡大によって日常的に暴力と不安が増加しているアジア太平洋地域のハワイや沖縄、その他の国々で地域住民や環境がこうむる影響を無視しています。

2009年、全世界の軍事費は計1兆5310億ドルと見積もられました。2008年と較べると6%増、2000年比で49%増です。2011年4月12日、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は、2010年の全世界の軍事費の支出総計を発表する予定になっています。

私たちの推計ではこの数字は1兆6000億ドルに達します。私たちは、平和団体、予算組み換えを求める活動家、軍備管理推進団体に賛同します。さらに、市民デモや連帯活動を行い、戦争への地球規模の巨額投資と社会的必要に対する世界規模での無視との間のギャップに注意を促すために啓発活動を行っている世界中の心ある人々に賛同します。どうぞ「軍事費についてのグローバル行動デー」のホームページを見て下さい。

IWNAMは米国大統領バラク・オバマ政権に要求します。
1)日本の「思いやり予算」を辞退してください。
2)沖縄、グアム、ハワイ、その他の地域での軍事施設建設を中止してください。
3)自然災害時の軍事主義の正統化をやめてください。
4)軍事主義依存を終結させる新たな雇用に資金をつけてください。

<署名者>
秋林こずえ(婦人国際平和自由連盟、日本)
エレン-ラエ・カコラ(真の安全保障を求める女性たち/女性の声・女性の言葉[Women’s Voices Women Speak]、米国・ハワイ)
ロトロト・デラ・クルーズ(KAISAKA、フィリピン)
コーラ・バルデス・ファブロス(訪問軍隊協定をつぶせ運動、フィリピン)
テリー・ケコオラニ(DMZハワイ、ハワイ)
グエン・カーク(真の安全保障を求める女性たち、米国)
マリア・ライナート・プマレホ(良心ある行動、プエルトリコ)
アイダ・サントス-マラナン(女性の教育・開発・生産性研究機構、フィリピン)
キムテジュン(韓国)
高里鈴代(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会、沖縄)
リサ・ナティビダード(平和と正義のためのグアハン連合、グアハン[グアム])

[翻訳:藪玲子]
プリンタ用画面

新しくコメントをつける

題名
ゲスト名
投稿本文
より詳細なコメント入力フォームへ
3.11大災害関連