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東京都知事選挙立候補を辞退することを勧告します

石原都知事の女性差別発言を許さず、公人の性差別をなくす会
2011年3月22日

東京都知事 石原慎太郎 殿

 あなたは去る3月14日、このたびの東日本大震災について、「我欲に縛られ政治もポピュリズムでやっている。それが一気に押し流されて、この津波をうまく利用してだね、我欲を一回洗い落とす必要がある。積年たまった日本人の心のあかをね。これはやっぱり天罰だと思う。被災者の方々、かわいそうですよ」と発言しました。その後の記者会見でも「『被災された方には非常に耳障りな言葉に聞こえるかも、と(前置きで)言ったんじゃないですか』などと釈明したが、実際には発言していない。」「持論を展開して、撤回しない考えを示した」と報道されています。(毎日新聞3月15日朝刊) 

 この発言について、あなたは「『天罰』という言葉が、添える言葉が足らずに、被災者の皆様、国民・都民の皆様を深く傷つけたことから、この言葉を撤回し、深くお詫びいたします。」と述べられたそうですが、この発言は撤回すれば済むようなことではありません。

 あなたの発言が被災された方をはじめとする多くの人々を傷つけたのは、「言葉が足りなかった」からではありません。あなたの発言の中に、他人の痛みや苦しみに思いを馳せ共感しようとする姿勢がまったくなく、逆に他人の痛みや苦しみを踏み台にして自らの「思い」を貫こうとする「強者の傲慢な思いあがり」を如実に見たからです。あなたはあなたの言う「我欲を一回洗い落とす必要のある日本人」の中にあなた自身を含めていますか。もし東京都が地震と津波で壊滅的打撃を受けたら、「天罰だ、これを利用して我欲を洗い流そう」と言いますか。今回の災害がもし自然破壊を繰り返してきた人間の所業の結果だとしたら、それは「天罰」などではなく人災でしょう。原発震災はまさに人災です。その人災をもたらした人間の中にあなたは含まれていますか。

 あなたの「天罰」発言は今回の災害を人ごとだと思っているからこそ言える発言です。あなたが常に「強者」の立場から社会的「弱者」やマイノリティを傷つける言葉の暴力を駆使してきたことを、私たちはよく知っています。あなたは他者の人権を尊重するという行政の長が持つべきもっとも重要な資質に欠けています。もし東京に今回のような災害や危機が訪れたなら、あなたはおそらく躊躇なく「弱者」を切り捨てるでしょう。あなたの「天罰」発言はまさにそのことを人々に知らしめたのです。あなたは来る東京都知事選挙への立候補を表明されています。しかし、あなたは今回の発言への政治的・道義的責任をとるべきです。その道はただひとつです。

 私たちは、あなたに東京都知事選挙への立候補を辞退するよう勧告いたします。
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