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ケビン・メア発言全文

※以下に訳出したのは、ケビン・メア米国務省日本部長が昨年12月にアメリカン大学の学生に対して行ったブリーフィングの記録である。すでに報道されている沖縄への差別的な発言のみならず、沖縄に米軍基地が存在している理由として、「すでにそこにあること」を挙げているなど、全文を通して読むと非常に興味深い。【編集部】

米国務省背景説明
12月3日、午後4時、国務省で

<参加者>
国務省側:国務省日本部長ケビン・メア
アメリカン大学側:冬季休暇沖縄オルタナティブ・ツアー「米軍基地と日本国沖縄へのその影響」の参加者14名

<発題>
(すべての意見と主張はメア氏のものである)

 2009年まで私は駐沖縄米国総領事だった。日本にある米軍基地の半分は沖縄にあると言われているが、この統計数字は米軍だけが使用している基地についてのものだ。すべての基地、すなわち米軍と自衛隊が共通で使用している基地をふくめれば、この比率はぐっと下がる。

 問題の沖縄基地は、もともとは田んぼの中にあったのだが、沖縄人が米国の施設の周りを取り囲む形で市街化することを許して、人口が増加したので、いまでは街の真ん中に位置するようになってしまったのだ。

 沖縄の米軍基地は地域の安全保障のために存在している。日米安保条約の下での日本の義務は、基地に土地を提供することにある。安保条約の下での日米関係は非対称で、日本には利益を与え、米国には不利なものだ。日本は米軍が攻撃されたとき米国を守らないが、米国は日本の国民と財産を守らなければならない。

 集団的自衛権とは憲法問題ではなく、政策問題だ。

 18,000名の海兵隊と1個航空団が沖縄に駐留している。米国は2つの理由から沖縄における基地を必要としている。基地がすでにそこにあるということ、沖縄が地理的に重要な場所であること、この2つである。

 (東アジアの地図を示しながら)在日米軍は東京に司令部を置いていて、それは、危機の際、物資と部隊の動きを調整する補給ハブである。冷戦中重要な役割を果たした三沢基地はロシアにもっとも近い基地である。岩国基地は朝鮮半島からわずか30分の距離にある。それでも、沖縄の地理的位置は地域の安全保障にとって重要である。

 沖縄は中国に朝貢する独立した王国であった。中国の一部になったことは一度もなかったのだが。米国は1972年まで沖縄を占領していた。

 沖縄の人々の怒りといらだちは、米国というより日本に向けられている。民主党政権は沖縄を理解していない。私が沖縄の人々に接触しようと申し出ると、民主党の幹部たちは「はいはい、どうぞ!」という。自民党は沖縄と意思疎通していて、今の民主党政府より沖縄の気持ちを分かっていた。

 3分の1の人びとは、軍隊がなければ世界は平和になると信じている。そういう人たちとは話が通じない。

 2009年の選挙で民主党が権力を握った。日本で初めての政権交代だ。鳩山は左翼政治家だった。民主党や鳩山にもかかわらず、米国と日本はなんとか5月に「2+2」共同声明をなんとか出すことができた。

(ここでメアは中座、かれの同僚2人が米日経済関係についてレクチャー。やがてメアが戻り、話を続ける。2人は退出)

 米国は沖縄での米軍の存在規模を減らすため海兵隊8000名を普天間からグアムに移すことになっている。この計画によって、米国は、地域に安全と抑止力を保証するための軍事的プレゼンスを維持することができるだろう。

 このロードマップの下で、日本は海兵隊の移転のために資金を提供するが、それは日本が目に見える努力をしていることの一つの印である。民主党政府はその実施を遅らせているが、私は日本政府が現行計画を実施すると確信している。東京(日本政府)は沖縄県知事に、「お金が欲しければサインしろ」と告げる必要があるのだ。

 米国の海兵隊の基地を置ける場所は他にはない。民主党は日本本土に代替施設を置きたいと持ちかけたが、米軍を受け入れるところは本土にはどこにもないのだ。

 日本の文化はコンセンサスにもとづく「和」の文化だ。コンセンサスつくりは日本の文化では重要なものだ。日本人はそれを「コンセンサス」と呼ぶかもしれないが、これは「ゆすり」のことで、コンセンサスの文化を「ゆすり」の手段として使うのだ。「コンセンサス」を求めるふりをして、できるだけ金をゆすり取ろうとする。沖縄人は東京政府を「あやつり」「ゆする」名人なのだ。

 沖縄の主要産業は観光だ。農業もあるにはあるが、主要な産業は観光だ。沖縄人はゴーヤをつくっているが、他県のほうが沖縄より多く産出している。沖縄人は、ゴーヤを栽培するにはあまりにも怠け者なのだ。

 沖縄は離婚率、出生率(とくに婚外出生率)が全国で最高、飲酒運転率も、アルコール度の高い酒を呑む文化のために全国最高だ。

 日本に行ったら「タテマエとホンネ」に気をつけなければならない。タテマエとホンネというのは、「言葉と実際の意図とは違う」ということだ。沖縄で私は、普天間海兵隊飛行場は「特に危険ではない」と言ってきた。私のこうした意見表明は、領事館前での沖縄人の抗議行動を引き起こした。沖縄人は普天間海兵隊飛行場は世界で最も危険な基地だと言っているが、彼らはそれが本当でないことを知っている。福岡空港や大阪の伊丹空港は同じくらい危険なのだ。

 日本の政治家たちはいつもタテマエとホンネを使っている。沖縄の政治家は東京での交渉では同意するが、沖縄に帰ると同意したことはないと主張する。米国大使や日本に派遣された他の政府代表は、真実を語ることで絶えず批判されている。日本の文化はあまりにもタテマエとホンネを重視しているからだ。

 米軍と自衛隊は気質が違う。米軍はいつ戦闘配備されてもいいよう訓練されているが、自衛隊は現実に戦闘配備に備える訓練はしていない。

 現地の人びとは米軍の夜間訓練に反対しているが、今日の戦闘はしばしば夜間に行われるので、夜間訓練は必要なのだ。抑止力を維持するためには夜間訓練は不可欠だ。

 私は、日本国憲法9条は改定されるべきだと思っていない。そもそも改定は起こりそうにない。日本の憲法が改定されることは米国にとってよくないことだろう。なぜなら、そうなれば日本は米軍を必要としなくなるだろうから。日本の憲法が改定されることがあれば、米国は米国の利益を増進するため日本の土地を使うことができなくなるだろう。日本政府が現在支払っている接受国支援は米国のためになる。われわれは、日本できわめて有利な取引をしてきたのだ。

以上

※原文テキストはこちらから。

[翻訳:武藤一羊]
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