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秘密保護法への非暴力抵抗
  ――進んで秘密を探り、公表する攻勢を


武藤一羊
(ピープルズ・プラン研究所運営委員)
2013年12月14日記

 安倍政権が、議会をつうじるレジーム改変クーデターの目玉として成立させた特定秘密保護法について、これが施行されたらどんなに恐ろしい世の中になるか、と議論されています。それはその通りですが、それだけでは私たちは受け身に回ってしまう危険があると思います。「唇寒し」で萎縮し、議論も控える、取材もビクビクとなる、それが、クーデターを完成させるために政権がこの法律を先行させた狙いでしょう。

 そのワナにかからないためには、この法律をボロボロにすることだと思います。この立法の性格に即した非暴力直接行動のアプローチです。非暴力直接行動は、街頭での座り込みのような行動形態に限られません。悪法を越えた正義があることを、悪法を無視して行動する(それは悪法の方からいえば「犯す」)ことで明らかにすることが、市民的不服従、非暴力抵抗の根本でしょう。沖縄密約を暴いた西山太吉さんはその先例を開きました。今ではWikiLeaksが活躍しています。

 恐れず情報を集め、恐れず取材し、恐れず広める、それを法律違反というなら法律が悪いのです。

 今回のこの法律はすでに数多くの指摘がなされているように、いざ使おうとすれば、穴だらけ、矛盾だらけ、出来からしてボロボロの法律です。こう考えて、この法律を廃止する運動のなかで以下のような立場を確認し、実行することが有意味、かつ必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。


 この法律は、奪うことのできない市民の知る権利、引いては生存権への暴圧であり、正義に反し、明白に憲法に違反するので、市民はそれにたいして抵抗権を有する。このような反社会的法律は、形式的に成立したからといって、それを尊重し、遵守する義務はないし、すべきではない。したがって市民はこの法律の条文を無視して、知る権利を行使する。市民はこの法律の下で、何が特定秘密と指定されたか、その中身は何か、誰が指定したか、この法律の実施のために(またその名目で)公安警察によるどのような活動が行われているか、などを積極的に調べ、突き止め、それが日本と近隣の民衆の平和と平和的生存権を脅かすものと判断されれば、それを広く公表し、社会的に共有し、社会による吟味と判断にゆだねる。この法律の下、市民が起訴され裁判が行われれば、法廷は、憲法に照らしこの法律自身を裁く場となるであろうし、ならなければならない。


 そうするための準備、悪法を迎え撃つ陣形が必要でしょう。すでに藤原、海渡弁護士が大事な提案をされています。「秘密保護法での逮捕者第1号を弁護するために、あらかじめ1000人の弁護団を組織しておこう」という呼びかけです。
 
 秘密の影に隠れて、戦争が準備され、憲法を無視して国の根本が捻じ曲げられていくことに、まっすぐノーを突きつけるとき、それは今でしょう!
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