メニュー  >  象徴天皇陛下万歳の 《反安倍(リベラル)》でいいのか?―特集にあたって 天野恵一
『季刊ピープルズ・プラン』81号(2018年8月15日発行)

特集 象徴天皇陛下万歳の 《反安倍(リベラル)》でいいのか?―特集にあたって

天野恵一(本特集責任編集)


今年の二月に、決定が発表されていた秋篠宮家の眞子の 結婚延期、これは事実上の婚約破棄で、そうでなければおかしい、といったトーンの週刊誌記事ばかり流され続けている。『女性セブン』「眞子さまご両親に反発/小室家は『開き直り』と『解決金』(五月一〇・一七号)には、破談が来年退位式のタイミングで決まり、それに水をさすようなことになったら大変、〈美智子さまは、それを心底恐れられている〉という記事がある。天皇「代替り」の政治プロセスに「全国民」の祝い事として、安倍政権がフルに 政治活用できるイベントとして、おりこもうとした「結婚イベント」の突然の延期は、すでにお祝いムードに水を差し続けている。
 
それどこか、いわゆる「モリ・カケ」問題で、グロテスクなまでの国家〈行政〉の私物化政権である実態が、これでもか、これでいうほどに公然化され安倍政権の 足もとはグラつきだしている(やっと支持率がダウン)。それでもすでに始まっている「強国日本」のスタートとしての明治百五十年イベント、そして天皇「退位・即位」の天皇制国家全面賛美づけの大イベント、2020年の巨大 な国際社会へ向けたナショナリズム・政治イベント(新天皇の「元首」としての開会宣言つき)である東京オリンピック。

まちがいなく全マス・メディアあげての〈挙国一致〉のスバライキ日本の「伝統」賛美あるいはガンバレ!ニッポンのマスヒステリー状況の政治的演出を通しての〈憲法改悪〉。この政治を自分の政権の手でこそ実現しようという 安倍晋三の野望の暴走は、ピンチの状況で加速されこそすれ、まったくブレーキがかけられる気配はない。

三月三〇日には政府の式典準備委」は天皇「代替り」の スケジュールを決定し、発表した。二〇一九年二月二四日、 国立劇場で「在位三〇年記念式典」・四月三〇日「生前退位」(「退位礼正殿の儀」・五月一日新天皇即位・改元・一〇月 二二日「即位礼正殿の儀」・一一月一四日から一五日「大 嘗祭」という流れである。

五月三日、私は主催者発表六万人という安倍改憲への危機感からふくれあがった護憲の集会とデモの中にいた。しかし、そこにはこの「代替り」の政治状況の中であるにも かかわらず「天皇制批判の声はゼロ。米軍とともに軍事活 動を公然と開始してきた自衛隊を前に日米安保条約そのものへの正面からの批判の声も、ほぼまったく不在であった。

これは安倍国家主義政治を批判しつつ、「アキヒト平和天皇」を賛美する「リベラル」なる、倒錯した言論の流行とパラレルな現象であるだろう。〈安倍政治〉と〈天皇政治〉が連動して、権力者をこそ 縛れの「立憲主義」精神の自壊を、外と内からか加速しているのではないか。

国家の最高の権威者であるという権力者「象徴天皇」に「陛下万歳」の声をあげる〈リベラル〉ってなんなんだ?

安倍改憲のスプリングボードとして準備されている象徴の意思による生前即位〈代替り〉の政治の危険性が、そこ にこそ象徴されていないか?
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