『季刊ピープルズ・プラン』58号(2012年7月6日発行)

交流

【交流】沖縄高江・韓国ガンジョン交流LIVE&トーク
         at国立かけこみ亭/星埜恵

 六月二日、国立市谷保のたべ・のみスペースかけこみ亭で、東京で沖縄高江の座り込みを支援するグループ「ゆんたく高江」有志主催の済州島ガンジョンと沖縄高江を繋ぐためのLIVE&トークイベントが行われた。現在、非暴力の住民運動としてこの済州島ガンジョンの反海軍基地闘争と、沖縄の東村高江での反米軍ヘリパッド新設の座り込みで起きていることは非常に類似点が多く、環境問題と人権問題、民主主義の側面から様々な矛盾の露呈された場所として、注目を集めつつある。今回は済州島ガンジョンの報告として、ガンジョンの運動を支援するグループ「10万ソンイ青年達・ガンジョン村ジキミ」の金志修さんからお話を聞き、高江在住の映像作家・比嘉真人さんが高江の現状を報告してくれた。

 LIVEとトークの二部構成からなるイベントは、ゆんたく高江メンバーで高江に何度も足を運んだことのあるシンガーnacca、ハレロックというバンドで中野のチャランケ祭りに関わってきた与論島出身の沖隆寿、寿─kotobuki─のギタリスト、宮城善光のライブパフォーマンスで幕を開けた。宮城善光ことナーグシクヨシミツさんは、沖縄の本土「復帰」の意味を問い、日本とアメリカの間に揺れてきた基地の島沖縄の姿と、沖縄人としての思いを歌うアーティストだ。三人のアーティストそれぞれの経験と立場から、どこにも基地はいらないというひとつのメッセージをガンジョンの風景とメッセージのプラカードをバックに表現された、素晴らしいLIVEだった。

 第二部のトークでは、金さん、比嘉さんがガンジョン・高江の現状を報告し合う中で、それぞれの住民運動が不当に国によって弾圧されていることの不思議なほどの共通点を見た。非暴力の高江の座り込みが国によって「通行妨害」として訴えられるという住民運動潰しのSLAPP訴訟、そして反対運動を機動隊によって力づくで排除し住民に三億ウォンの罰金を科す韓国政府、自分の村への基地建設の決定を知ったのはマスコミの報道だったということも共通している。そこに民主主義というものはなく、そこにあるのは一方的に決められた決定事項に従わない人びとを権力によって押さえつけるいつものやり方である。また現在基地建設のために爆破され続けているガンジョンのグロムビ海岸という場所はとても美しく、絶滅危惧種や天然記念物にあふれた貴重な場所であるということも、本当に高江と一緒なのだ。海と森、人間にいのちの糧を与えてくれるこの場所に現在国策として行われていることの現状を知り、繋げ、伝えていかなくてはいけないとあらためて感じた。

 トークの最後にガンジョンの人々と電話が繋がり、ちょうど平和音楽祭の夜で盛り上がったガンジョンの人々と、イベントを報告し合った。音楽や踊りで伝え、繋がり合う高江とガンジョンの輪を大事にしてこれからも出会いを広げていきたい。
(星埜恵/ゆんたく高江)

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