2015/4/18 17:31:00
総会 : 世界社会フォーラム(WSF)組織委員会の声明および現ギリシャ首相からWSFへのメッセージ

 以下、2015年世界社会フォーラムに関する3つの記事を掲載いたしました。
ぜひご覧ください。


世界社会フォーラム組織委員会・バルドー博物館テロ事件後の二回目の声明(2015.3.19) (翻訳)

 世界社会フォーラム組織委員会は、本日〔2015/3/19〕午前緊急会合を開催し、昨日〔2015/3/18〕バルドー博物館を狙ったテロ攻撃の直接的影響を検討した。

 組織委員会は、世界中の異なる社会活動家や市民からの無数のメッセージと連帯声明を受け取った。彼らは、フォーラム参加を改めて約束するとともに、この比類なき瞬間において、チュニジアやその他の地域や世界での、テロリズムに反対する大衆的動員への関与を表明した。
 組織委員会は、以下の世界的世論を報告する。

・すべての代表団は、いかなる変更も修正もなく、予定された活動への参加を表明した。このことが、チュニジアとの、チュニジア国民との、そしてさまざまな国に属する犠牲者たちとの、オルタ・グローバリゼーション活動家の連帯を実際に示すことになり、平和、民衆間の連帯、民主主義と自由などの原理への献身を表すことになる。

・開会記念行進は、3月24日午後4時に予定されている。行進は、「世界の民衆はテロリズムに抗して団結する」のスローガンの下、バブ・サアドゥーン広場(la place BAB SAADOUN)からバルドー博物館(musée du Bardo)に向かう予定である。

・世界社会フォーラム国際評議会内に、「テロリズムと闘うためのオルタ・グローバリゼーション運動によるバルドー国際憲章」(LA CHARTE INTERNATIONALE ALTERMONDIALISTE DU BARDO DE LUTE CONTRE LE TERRORISME)策定のため、特別委員会を創設する。同委員会は、2015年3月26日正午にファラハト・ハシャード・キャンパス(campus de Farhat Hached)での一般集会を開催する。

 組織委員会は、テロリズムに反対する上での、社会的、市民的、民主的、平和的、そしてオルタ・グローバリゼーション的な諸勢力の重大な役割を念頭に、彼らにその動員強化の要請を重ねて表明する。これによって、チュニジアで開催される世界社会フォーラムは、この地域での、そして世界での、力関係を変え、平和・民主主義・社会的正義の賛同へと向かう決定的な転換点となるであろう。

世界社会フォーラム組織委員会
アブデルラーマン・ヘジリ(Abderrahman Hethili)

(日本語訳 大屋定晴)

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※フランス語版・英語版より翻訳。
※訳者追記
 事件直後の一回目の組織委員会声明については、次のサイトに日本語訳がある。
http://attaction.seesaa.net/article/415888017.html [2015年3月23日閲覧]

 なお以下のブログにも、二回目の声明の情報が掲載されている。
http://blog.socialforum.jp/2015/03/blog-post.html
(同ブログ内、「2015年3月20日金曜日 オープニング・マーチはバルドー博物館に向かうことに」)[2015年3月23日閲覧]


マグレブ社会フォーラム監査委員会・2015年3月18日付声明 (翻訳)

※訳者追記
 2015年3月18日のチュニス・バルドー博物館テロ事件の首謀者は、「イスラム国」だと一般的には報道されているが、チュニジアとリビアに基盤のある「アンサール・アルシャリア」の一員(ないし元メンバー)であるとも伝えられている。アンサール・アルシャリアは、下記声明にあるシュクリー・ベラィド氏を、2013年2月6日(2013年3月26日?30日のチュニス・世界社会フォーラムの直前)に暗殺したとの疑いもかけられている。ベラィド氏は、ベン・アリー政権時代のチュニジアで人権派弁護士として鉱山労働組合の弾圧事件に抗議し、2011年のベン・アリー政権崩壊後は世俗主義左派の政治指導者として、当時の政権与党第一党のアンナハダ(現在は国会第二党として連立政権に参加)とイスラム原理主義との関係を批判していた。彼の葬儀の日に、同国最大のナショナルセンターであるチュニジア労働総同盟(UGTT)が、暗殺事件に抗議するゼネストを行ったが、このUGTTは、チュニジアでの世界社会フォーラム開催準備に――今回を含め――二度とも大きく関与している。
 
‐‐以下、翻訳‐‐

「われわれはテロには屈しない」

 マグレブ〔アフリカ北西部アラブ諸国地域〕社会フォーラムの動向に関与してきたわれわれ――さまざまなアソシエーション、組合、社会運動体――は、2015年3月18日のチュニス・バルドー博物館で犯された犯罪的で野蛮なテロ活動に慄然とさせられた。
 この犯罪行為は、多様な宗教や国際憲章・国際協定によって支持されてきた価値観を言語道断にも否定し、「もうひとつのチュニジア」・「もうひとつのマグレブ」への希望の出発点となるこの国を、世界社会フォーラム開催前に、混沌へと投げ込もうとしている。その目的は、チュニジアの経済回復を、対立の平和的解決という経験を、そして民主主義への移行を、その土台から破壊することである。その目標は、独特な考え方を押し付けて、チュニジアへの訪問者に恐怖を広めることである。この野蛮な行為は、〔同じくチュニスでの〕2013年世界社会フォーラム開催前に起きたシュクリー・ベラィド(Choukri Belaid)暗殺と同じ性格のものである。

―― われわれは、この犯罪行為を非難するとともに、被害者とそのご家族への連帯を表明し、負傷者の早期の回復を願うものである。そして、亡くなられた方々のご家族、チュニジア国民、テロ行為に苦しんだすべての人々に、心からの哀悼の意を表明する。

―― 生存権を攻撃対象としたあらゆるテロリズム的・犯罪的行為に対して、抵抗と連帯を呼びかけよう。このような行為は、暴力と敵意と憎悪とを煽り蔓延させるだけである。

―― 次のことを思い起こそう。すなわち、野蛮に対する防壁となり、さまざまな個人や共同体の共存を保証する一手段となるのは、多様性への権利の尊重と対話の文化だけなのだと いうことを。

―― われわれは依然として立ち上がっており、テロには屈しないと述べるために、2015年3月24日から28日にかけて開催される2015年世界社会フォーラムへの大きな動員と参加とを呼びかけよう。

―― われわれは世界の社会運動に対して、チュニジア国民を支援し、民主主義への、多様性の尊重への、社会正義や自由への、そして必要かつ可能なもう一つの世界への、われらが献身と熱望とを力強く表明すべく、2015年世界社会フォーラムのさなかにあるチュニスにおいて一つのデモンストレーションを行うことを求める。

マグレブ社会フォーラム監査委員会より
カサブランカ、2015年3月18日

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原文
https://www.facebook.com/fsm2015/posts/898726736844735 [2015年3月23日閲覧]
(日本語訳 大屋定晴 ※フランス語版より翻訳)

---ここまで---


2015年3月24日 アレクシス・ツィプラス(現ギリシャ首相)からの2015年世界社会フォーラムへのメッセージ'(翻訳)

親愛なる友人、そして同志のみなさん。
 14年前の新世紀のはじまりに、市場のグローバリゼーションに対する民衆の応答として、世界社会フォーラムは現われました。それは慎重にも、世界中からの運動、労働組合、団体の多彩な会合だと言われました。フォーラムはグローバルな問題への――すなわち、貧困、社会的格差、民主主義の欠如、人種主義、環境破壊、経済的・社会的公正の不在といった問題への――進歩的な解決策を求めていたのです。対等な人々同士の対話と水平的なプロセスとを駆使することで、世界のさまざまな地域から社会的勢力が――それはおそらく異質な問題に対して闘っているのかもしれませんが――それでもなお共通目標を中心にまとまり、地球のためのオルタナティブなヴィジョンと青写真とを練り上げることができるということを、証明してみせたのです。以上のような価値観を「利潤よりも人間を」とか「もう一つの世界は可能だ」といったスローガンに集約させながら、世界社会フォーラムは、グローバルな新自由主義の優位を結局のところ疑うような考え方や行動様式を生み育てる空間になったのです。
 世界のために異なる見込みをつくるという私たちの共同責任は、今日さらに重大なものとなっています。私たちを脅かす市場の力を前にしたオルタナティブな見方として、盲目的な狂信や暴力、そして社会的な退行が現われているこの時代だからこそです。こうした見方こそが、わずか数日前にチュニスで恐怖と死をまきちらした者の背後にある動機であったのです。こうした見方への道を断固として閉ざすために、貧しき人々や抑圧された人々の心をさまざまな運動がつかまなければなりません。不寛容と狂信とが結びついても、ファシズムと人種主義とが結びついても、未来への新たな道は切り開かれません。世界が前進するとすれば、それはただ、民主主義や権利の尊重、連帯、そして共同の闘争によってでしかないのです。
 親愛なる友人のみなさん。
 ご承知のとおり、これまでかなりの期間、ギリシャは新自由主義の教義と衝突してきました。市場による強奪と緊縮財政という破滅的政策とに直面して、私たち民衆は、民主主義や福祉国家、公共財、そして適切な賃金のある仕事の権利を守ろうと決意しました。私たちは、生命や尊厳や社会的公正のための格闘を提起しています。これらはみな、経済や純然たる金融的利益の必要性に社会を順応させるのではなく、社会の必要性に経済を順応させる闘争の中にあるのです。
 私たちの視野は、自国の国境に制限されるわけではありません。むしろ、ヨーロッパ全域に広がるものです。私たちの歩みを他の人々も続いており、そうした人々が世界をより公正なものとし、未来をもっと輝かせるために、民主主義による権力の活用を決心していることを、私たちは知っています。ヨーロッパにおける現在の力の均衡と衝突する最前線がすでに形成されつつあるのであって、それは日に日に強まっています。
 こうしたことの進展が今年、チュニスでの世界社会フォーラムのさなかに議論されるであろうことを、私たちは知っています。考慮すべき重要なことには、ギリシャへの全面的な支援もありますが、ヨーロッパでの、そして世界全体での歴史的変化のために闘っているすべての人々への全面的支援もあると私たちは知っています。これこそが本日、楽観的で力強く決意ある挨拶を、今年のフォーラム参加者にギリシャが送る理由なのです。連帯を自らの対抗手段としながら、民衆こそが勝利するでしょう!

アレクシス・ツィプラス

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原文
https://www.facebook.com/fsm2015/posts/901029749947767 [2015年3月24日閲覧]
(日本語訳 大屋定晴 ※英文より翻訳。) 

投稿者:事務局
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