(PP45)特集にあたって/白川真澄

『季刊ピープルズ・プラン』45号(2009年冬号)
<特集>金融恐慌――資本主義はどこへ行く? そして我々は?
<小特集>ガザ大虐殺

特集にあたって
白川真澄

 世界が大転換期に入っていることを、いま誰もが実感している。ブッシュは泥沼化したイラク戦争の失敗のなかで退陣した。オバマ新政権がどのような「チェンジ」をもたらすのかは不透明な部分が多いが、単独行動主義からの転換は避けられない。そして、9月のリーマンの経営破綻をきっかけに勃発した金融恐慌が全世界を震撼させ、戦後初めての世界同時不況が到来している。
 いま起こっている金融危機と大不況は、たしかに1929年大恐慌に匹敵する出来事であろう。ハイリスク・ハイリターンの米国流証券化ビジネスの破綻、世界的なカネあまり(過剰流動性)のなかでの資金不足(流動性の枯渇)、市場競争原理を賛美してきた金融機関と大企業による政府支援への強い嘆願。これらを見ただけでも、資本主義のこれまでのあり方が破綻していることがよく分かる。マネーゲーム主導の金融資本主義を加速してきた新自由主義の破産は、誰もがふつうに口にするほど明白になった。グリーンスパン(前FRB議長)でさえも、「高率のレバレッジを効かせている貸し手からリスクを移転する金融商品(なかでもCDS)は、とくにグローバルな環境では、経済の安定に決定的になりうる」(『波乱の時代』)と断言した1年後の議会証言で、「金融商品の規制緩和で部分的に間違っていた」と認めざるをえなかった。銀行も企業も政府も、狼狽してなりふり構わぬ金融安定化と財政出動の政策に頼るだけで、これからの世界と社会と経済がいかにあるべきかの姿をまったく描けていない。ひたすらこの危機を働く人びとの犠牲において乗り切ろうと、大量の首切りを強行している。米国では259万人、EUでは120万人もの失業者が、この1年で新しく生まれている。日本では津波のような「派遣切り」が横行し、働く人びとの雇用と住まいを奪い、命まで脅かしている。
 では、私たちは何をなすべきか。「派遣村」の運動に象徴されるように、経済危機に反撃する抵抗のたたかいと助け合いの運動が開始されている。このたたかいと運動のなかから金融資本主義あるいは資本主義そのものにとって代わるオルタナティブを大胆に論じ構想することが求められているのではないか。資本主義はどこへ行く? という問いは、われわれはどこへ? という問いに置き換えられるのである。
 本号では、金融恐慌の現状を具体的に分析しその歴史的意味を読み解きながら、私たちのオルタナティブを考えるという野心的な企画を立てた。ぜひお読みください。
(しらかわ ますみ/本誌編集長)





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