【声明】「御心配」パフォーマンスは、もうやめてくれませんか。
──「天皇夫妻」へ

反天皇制運動連絡会

2011年4月6日

 3月16日、天皇の「皆がいたわりあって、この不幸な時期を乗り越えることを衷心より願っています」という国民向けのビデオメッセージなるものが流された。

 3月18日、宮内庁は定例記者会見で、皇太子一家の避難に関する質問について「答えるに及びません」と答えることで、天皇一族が「京都御所」などに避難しているという、ネットなどで飛び交っている噂を否定してみせた。これに続いて、計画停電にあわせて「御所」でも節電にこれつとめているというエピソードを公表した。

 そして3月30日には、足立区の東京武道館において、福島原発事故からの被災者たちへの「見舞い」を実行してみせた。

 別に関西(京都御所)だけでなく、いつでも、どこでも、ただちに避難が可能という、超特権的なこの一族は、発生して当然の「噂」におびえ、動き回っているように見える。ゾロゾロと警備を従えて、そうした行為に批判的な人間は排除して、マスコミにクローズアップさせるために、都合のいいように被災者を選択し、その前に膝をついて、「暖かいお言葉」をかけてみせた。

 この東京武道館に避難者を受け入れた東京都は、避難してきた人たちが「避難指示地域」外の人たちであることを理由に、屋根を与えるだけで食事の支給など一切してこなかった。ボランティアで暖かい食事を提供しようとしたキリスト者や野宿労働者支援グループなどは、「食中毒のおそれ」などを理由に立ち入りを拒まれたりした。交渉の結果炊き出しを黙認させ、やがて行政もようやく弁当を配布することは始めたという。その東京都が、天皇の「お見舞い」に合わせて、防災服を着た職員による、炊き出しのパフォーマンスをしてみせたのだ。さらに、避難者のプライバシーを守るための区切りも、それまでの形ばかりのものに代えて、きちんとしたパーティションに取りかえられたようだ。これらは、避難者のためというより、天皇(とそれを報じるマスコミ)向けのものであり、行政もやっていますというアピールのための行為にほかならない。

 多くの人びとの不幸を利用した、天皇の「御心配」パフォーマンス。そして、それを演出する行政やマスコミ。それは、多くの反対の声を押しつぶして国策としての原発エネルギー政策を推進し、この大人災をうみだした政府・自治体・東電・マスコミの歴史的責任を、隠蔽するためのものでしかありえない。

 天皇一族は、勝手に避難していいから、せめて、こうした政治的パフォーマンスはもうやめてくれませんか。
  
 反天皇制運動連絡会