オルタナティブ提言の会

第8回 オルタナティブ提言の作成に向けての
これからの作業について
 
2010年3月14日

◎たたき台の説明と提案

事前にメーリングリストに投稿された、「オルタナティブ提言を作成するこれからの作業について」が白川真澄よりあらためて説明されたが、重大な変更点として次のことが提案された。提案Bの「? 提言に何を書きこむか(構成と項目)」について、「A 日本社会の何を根本的に変えるのか」と「B 提言する項目」の二部構成ではなく、「B オルタナティブの基本的な構想」を立てて、Bを「C 分野別の提言」にする三部構成のほうがよい。

◎討論

◆オルタナティブの性格・レベルについて


・オルタナティブ社会の提起であれば、項目別の問題の前に体制の問題、階級の問題などにふれる必要があるのではないか。反資本主義といった全体のイメージが必要。

・誰に向かって提言するか。社会に向かって発信するときに、国会議員や政策立案に関わっている人など政治にかかわっている人たちが聞いてくれるようなものにすると受け入れられる幅が広がるのでは。
 社会のイメージ、体制、政治システム、政策決定どのようなものが望ましいか。省庁再編などでも国民の声を吸い上げるようになった。
 
・政策への参加について、議論は必要。

・項目のなかでも、税制の話は各論のバックグウンドになる。

・反資本主義とは一体何かという問題を具体的に提示する必要がある。マネーの活動や市場を社会の中に埋め込む経済システムは、もはや資本主義とは言えない。

・ヴァージョン2、ヴァンジョン3、が可能になるような作り方、そのプロセスが運動になるといい。

・どういう体制になるかということは今の時点でわからない。ただ、限界に来ているものはある。それは批判されるべきだし、変わっていくべき。その積み重ねの中から21世紀のシステムができてくる。次の新しい資本主義システムを作ればいいのか、そうではないのか。「国家」がどうなっていくのかを含めてガバナンスの問題をどう歴史的にとらえるのか、どう位置づけるのか。
項目分けはまだ未整理。「提言する項目」の6と8、4と5など表裏の関係のものが同じレベルで並んでいる。原理と政策、という区分が必要。

・項目を貫いた原理・原則を共有化することが大切。結論を出さなくても、議論が広がるような原則を挙げておきたい。

・作ろうとしているもののレベルをどこにするか。それは別のレベルに開かれたレベルであるべき。天皇制、憲法が入っていないが入れる必要がある。
鳩山政権はいろいろ言うが、原則がない。だからご都合によってふらふらする。判断をする場合の原則を日本の状況に即して立場を明らかにする必要がある。憲法の問題はさけて通れないがどう扱うか。改憲反対ははっきり出すべき。それが天皇制を肯定したり、へテロセクシャルだけを肯定したりするようなものではない文脈として叙述しなければならない。ボディとしてはそういう原則を明らかにする。
 各論は、展開すれば反対もでる。どう扱うか。原則とは別に扱う。
 
・提言の内部に矛盾があってもいいのではないか。論点が明確に出ることが大事。表現としても現時点ではそれしかできないのでは。反資本主義か改良資本主義かという問題などは、統一できないだろう。
 それはそれとして論点を残っているということは枠組みとして出す。いまの人たちに読まれるためには、鳩山政権の政策のブレにたいして、どう評価すればよいのかの基準・原則をいう必要がある。対案まで出すのは技術的にむずかしいし重要でない。

・制度・政策の中身も言わないとわからない、ということはある。

・政策とかみあう必要はあるが、1対1で出す必要はない。

・原則があった場合、この基準に照らせばこれでいいが、別の基準に照らせばちょっと違う、みたいなことは出てくる。

・農家戸別補償の政策について、どう評価するかという原則を明確にする必要がある。

◆現在のシステムの危機について

・オルタナティブを出す前提として、いまの危機の問題、完全に限界にきているシステム的な危機に対して、我々はどういう展望をもつか。そこを言った上で、個別的には政策に踏み込む必要があるが、現に運動のなかから出てきている要求はたくさんある。それらをピックアップして、議論を詰めてみる必要はある。

・前提が必要と思うのは、たとえば反貧困の運動で、社会的に認知されてそれなりの発言権をもってきたから、問題意識が個別政策に流れて、会議も停滞状況にある。キャンペーンでは一緒にやるが、共通の原則が共有化されてつくられているものではないから、どうしてもそうなってしまう。運動として打ち出していくときにそこを議論するべきだった。
 ここでやるならそこの共通項を出すようなものにしたい。

・いろいろなNGOがさまざまな主張を出している。それらを整理して出す。

・賃労働をして正当な報酬を得る、ということは反資本主義でもなんでもない。共産党でいえば「ルールのある資本主義」をめざすということだ。しかし、我々は違うと思う。労働中心主義から脱却したり労働と所得の結びつきをなくすというのは、資本主義とは違う何かへの移行。でも、反資本主義という言い方をする必要はないのではないか。

・資本主義とはなんぞやという必要はない。いまのシステムではパンクすることははっきりしている。中国を見ても地球環境をみても明らか。

・いまの危機の状況はこれまでとレベルが違う。

・いや同じ。ただ、格差のある表れ方。地域にとって、人によって違う。それは前から同じ。「システム」という言葉は人をイメージしないから好きではない。

・その辺も具体的な文章をつくって議論した方がわかりやすい。

◆労働と経済構造の転換

・労働でいえば、社会的に有害と思う労働を拒否できるという選択権が確立されれば、かなり根本的な変革に通じる。

・そこはよくわからない。寄せ場では仕事といえば日雇いの土木労働。そこでは公共事業をどんどん出せ、という主張になる。でも道路をつくることが嬉しいわけではない。業種の選択ができない。そこでは仕事があるかないかしかない。

・どういう労働をするかは、どんな産業分野で経済を営んでいくのかという問題とつながる。やはり介護とか医療とか農業とか自然エネルギーがこれから中心産業になると言わなければいけないと思うが、雇用の確保という直接の要求を超えてこういう問題を言わなければいけないのではないか。

・新しい産業をつくっていくしかない。それから、協働組合でもなんでも、儲けの論理と社会的有用性で引き裂かれる。そこは法的にしか規制しえない。

・そこはバランスをとっていくしかない。

・そこは分けて議論しないと。ただそのときに、最終ゴールへの熱意が失われないようにするむずかしさはある。

・産業構造をどう転換するかを大胆に言うべきだ。いま出されているのは、せいぜい自動車をグリーン化して売ればいいという政策。

・消費者の間では、加工食品の問題。コンビニ弁当の労働。エコナ批判などを行っている。非軍事産業にもおかしいところはたくさんあり、儲けに走るとおかしいぞ、ということを認識するようになり、現在の産業構造のあり方を問うようになったと思う。

・労働劣化は変えないと。

◆民主主義の再定義について

・もうひとつは民主主義。民主主義をもう一度定義しなおす。自分の職場で変なものを作っても何もいう権利がない。たとえば職場が軍需産業に転換するときに、それはだめ、という言うことができるように。

・当事者としての発言権、決定権、それがどこでも行使できる、ということをはっきり出したほうがいいだろう。

・鳩山政権の当事者主権はパフォーマンス。まったく信用できない。

・そこは当事者ががんばるかどうか。

・当事者が怒れるかどうか。「住民主権」というようなパワフルな言葉のように、イメージを喚起する上で、言葉を工夫する必要がある。

・状況としてメインストリームのGDP拡大志向ではダメだというのは、いろいろなところで共通認識になりつつある。

◆「経済成長」「国際競争力」「自由化」は要らない

・不況が続いているために、経済成長イデオロギーの巻き返しが強まっている。

・GDPは現実に増えていない。「経済成長」、「国際競争力」、「抑止力」の3つが聖域になっている。これをひっくり返す必要がある。

・脱経済成長の項目について、海外現地生産に向かっているが、国内での産業のあり方をいまの支配層がどう考えているのか。外需主導経済でもないと思う。そこをどう規定するか。転換のイメージを出す上でも考えなければいけない。

・トヨタとかキャノンなどのグローバル企業は、国内のことを考えていない。

・農業は自給率50%に上げると言われ始めているが、問題の背景にあるのはWTOのルール。これを批判する必要がある。

・「自由化」原則を撤廃する、と言わないといけいない。

・積極的に「保護主義」という言葉を使うべき。自由化はだめ、というのは社会運動では常識で、だれも関心をもたない。僕は「連帯する保護主義」という言い方をしている。

・バンダナ・シヴァは「コミュニティレベルの保護主義」といっている。地域をめちゃめちゃにしてしまうのはダメ。

・主権という言い方を、国家の主権という意味から解放して、いろいろな分野で積極的に使ってもいいのではないか。当事者主権という言い方がすでにされている。

◆提言の構成について

・大きな枠としては、まずいまの社会の危機的現状を書く(A)。次に、オルタナティブについての基本的な考え方や原則を述べる(B)。それから分野別・項目別の提言を書くという構成ではどうか。

・発刊にあたっても必要

・長さをどうするかが重要

・分量的迫力が必要。

・ブックレットの厚さが限界では。

・全体の提言は練られた短いもの。個別提言部分は分量でイメージをつくる。

・それぞれの項目について政策レベルで膨らんでいればいい。

・あらゆることを入れたほうがいい。そうでないと読まない。自分の関心ある分野が入っていないと読まない。

・産業構造の方向性を入れる必要。

◆確認

◆確認
提言の構成
はじめに(趣旨)
A:現状と問題点(何が行き詰まっているか)。
B:オルタナティブについての基本的な考え方・原則。
C:分野別の提言(制度・政策の提言)

進め方
1 Bの「基本的な考え方・原則」について、ペーパーを出しあって次回の集まりから議論する。自分がこれはオルタナティブの提言としてぜひ入れたいというものを各自が書いてみる
 字数目処は2000字。締め切り:4月11日(日).
 ペーパーを必ず提出する人:青山、大野、国富、塩沢、白川、鈴木、千村、鶴田、なすび、船橋、宮部、武藤、山浦

2 C:分野別の提言についてもペーパー作成の準備を始める。
(1)生と文化の多様性/移住労働者、セクシュアルマイノリティ(青山)先住民(越田)
(2)日米関係の転換と東アジアの平和(国富)、戦争責任問題(渡辺美奈)
(3)人権と民主主義(宮部)
(4)雇用と労働(伊藤、竹信)
(5)生存権と生活保障(宮部、なすび、漢人)
(6)脱成長経済/農業と地域社会(大野)、消費者問題・貿易ルール(山浦)
(7)環境/生物多様性(山浦)
(8)グローバリゼーションとの対抗・規制(金子、千村、稲垣)
(9)教育
(10)ジェンダー平等(鈴木、船橋)

3 議論できていないテーマについて、協力・助言を依頼する。
  崔勝久(在日問題)、上村英明(先住民の権利)、大内裕和(教育)