『季刊ピープルズ・プラン』63号(2013年12月19日号)
【特集】逆立ちするニッポン
【小特集】水俣病は、終わらない

特集にあたって

白川真澄(本誌編集長)

 とにかく滅茶苦茶である。どの情報を「特定秘密」に指定するのか、何が「秘密漏えい」の罪に当たるのか、何が「教唆(きょうさ)」「煽動」なのか、いつまで「秘密」を公開しなくてもよいのか。何もかも政府(行政権力)が決めることができる。政府が決めたことを、政府以外の誰もチェックできない。決めること(決定)が政治の本質的な営みであるとすれば、特定秘密保護法ほどの暴政・悪政はほかに例を見ない。

 決定において重要なことは、誰が決めるか、どのように決めるかということだ。政府にだけすべての決定権を与えるという内容だけではない。法案の決め方も、すさまじい。法案に反対が五〇%、賛成が二五%、慎重な審議を求めて継続審議にすべきが五一%(廃案にすべきが二二%)、安倍内閣支持層でも継続審議にすべきが五六%(廃案にすべきが一〇%、朝日新聞一二月二日)。これほどの反対・慎重の民意を一顧だにせず、強行採決を繰り返して法案を成立させたやり口。安倍流の「決められる政治」の本質を見せつけられて、人びとはぞっとし、いてもたってもおられずに国会を連日連夜取り囲んで怒りの声を上げた。

 この法案に対する疑問と批判は、海外からも発せられた。日本外国特派員協会はいち早く撤回を求めたし、ピレイ国連人権高等弁務官は「いくつかの懸念」があり「成立を急ぐべきでない」と見解表明した。異例のことである。読売新聞は「日本にもようやく他の先進国並みの機密保全法制が整った」(一二月七日、社説)と嘯(うそぶ)いているが、日本のそれが世界のなかで最悪のものであることが知れ渡りつつあるのだ。秘密保護法だけではない。安倍政権の異常さや独善ぶりに対して、疑惑と不信の目が世界から向けられつつある。オリンピック招致に際して安倍がついた、福島原発事故の「(汚染水問題の)状況は完全にコントロールされている」という大ウソは、世界を驚愕させた。安倍の歴史認識は、「国際社会」からの孤立を招いている。集団的自衛権の行使容認も、米国による軍事力の肩代わり要求に沿うものとはいえ、米国はアジア諸国の反発を招くことへの警戒を隠そうとしていない。アベノミクスも、世界的な緩和マネーに踊らされるバブルだと見られている。

 安倍政治を世界の側に視点を置いて照らし出すと、それがいかに異様で逆立ちしているかがよく分かる。逆立ちした安倍が見ている世界像は、独り善がりの日本人しかいない自己中心的な幻影の世界であろう。その幻影を現実に押し付けようとする暴政・悪政を、きっぱり拒否したい。

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