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2009年10月22日(木曜日)

オバマをノーベル平和賞でがんじがらめにしよう/山口 響

カテゴリー: - 事務局 @ 09時59分44秒

 世界が本当に核廃絶に向かっているのか、何だか心もとない。日豪政府の肝いりで始まった(が一応は民間の動きと位置づけられている)「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」(ICNND)の最終報告は、核兵器の先制不使用という小さな目標ですら「2025年まで」という、あまりに微温的なものにとどまりそうだ(この点では、岡田克也外相の方がまだ先を行っている)。

 それでもなお、核廃絶に向けた世界の動きが少なくとも「ムード」のレベルで存在していることは間違いないだろう。ノルウェーノーベル委員会は、その「ムード」を作り出したことに報いて、オバマ大統領に平和賞を与えた。

 まずは文句をつけてみよう。そのための素材には事欠かない。

 何といっても、オバマはまだ就任わずか10ヶ月だ。4月にプラハで核廃絶演説をやっただけで、実際の行動はまだほとんど伴っていない。包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准だって議会にさせていないし、核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)策定のための国際交渉だってまだ始まっていない。なによりも、オバマ政権自身による核態勢見直し(NPR)すら、まだ完了していないのだ。ブッシュがあまりにひどすぎたので、口先だけでも何か言ったオバマの方がまだましに見えるということか。

 アフガンやイラクでの戦争も続けられている。アフガンでは戦線を拡大してすらいる。昨年末から今年初めにかけてイスラエルがガザ地区で大虐殺に打って出た際も、オバマは沈黙を保った。

 そもそも論として、ノーベル平和賞そのものにケチをつけることもできるだろう。国際連盟を作ったが、メキシコに軍事攻撃を加えハイチやドミニカ共和国を占領したウッドロー・ウィルソン。ベトナム戦争を遂行したヘンリー・キッシンジャーと、それに手を貸した佐藤栄作。こういう人たちも立派に「平和賞」の受賞者リストに名を連ねている。(ハワード・ジン「戦争と平和賞」参照[英文])

 こういう風にいくらでも批判できるのだが、どうもそれだけでは足りないような気もするのだ。同じように核廃絶を実現するための手段というのなら、広島・長崎のオリンピック招致が救いようもなくダメダメであるのに対して、オバマの平和賞の方は「使える」部分もあるのではないか。

 実は、平和賞が決まって、「困ったことになったなあ」と一番思っているのは、オバマ本人かもしれない。「平和賞」の名に値するだけの実績を今後残さねばならないからだ。これは彼にとってはかなりキツイ。

 だとするならば、私たちは、「その名にふさわしいことをキチンとやってくれるんだろうな」とオバマに迫るべきだ。上に挙げたような問題をオバマが抱えているからこそ、それを文字通り「チェンジ」させるためにも、私たちは「平和賞」を使ってオバマに手かせ足かせをはめる必要がある。彼がすでに賞を獲ってしまっている以上、外野から文句を言うだけではダメなのではないか。


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